• 九州大学

学部長あいさつ

教育学部長|坂元 一光

 九州大学教育学部の歴史は1925年(大正14年)の九州帝国大学法文学部教育学講座の設置にまでさかのぼります。戦後の学制改革ののち、1949年(昭和24年)現在の教育学部として創設されました。以後、教員養成教育とは一線を画しながら、人間の発達と形成を軸に総合的な人間科学教育を通じて公官庁や民間企業、学校現場等へ有為な人材を輩出してきました。また大学院との一貫した教育をへて国内外の高等教育機関の研究者や臨床心理分野の専門職業人などを多数育成しています。こうした教育学部の伝統は社会の変化をまなざしつつ新たな創意や挑戦を取り入れ今も新しく更新され続けています。そのいくつかの取り組みをここで紹介したいと思います。

 ひとつはグローバル化に対応した教育研究です。その意味するところは一元的なグローバル競争を勝ち抜くための人材育成ではありません。むしろ多様な文化や意見を尊重する開かれた態度による知恵や共生の構築を通じ、教育や人間形成の未来像を描くことのできる人材を養成するのです。教育学部は早い時期から国際的視野のもとに教育や人間形成を探求する科目群を設置してきました。現在、海外研修プログラムや留学生の積極的受け入れ、国際交流事業などを通して知識と実践の両面から教育研究のグローバル化を進めています。

 また教育学部では教育学フィールドワーク、教育学ボランティア、教育学インターンシップなど教育に関わる現場や地域社会に出かけて学ぶ体験型の演習科目を充実させています。学生が自分なりの問題意識を持ってさまざまな現場に直接関わることを通して、机上の知識からこぼれ落ちるナマの現実や人間に向き合い、協働的、創造的に課題解決を目指す知識と態度を養います。

 さらにこの現場は教育学部の重要な学びの基盤「人間に対する深い洞察と共感的な態度」が求められる場でもあります。なぜならそこは多様な社会的、文化的あるいは身体的背景を持った他者と向き合う、いわば人間理解の幅広い力がためされる場だからです。教育学部では総合的な人間科学教育のカリキュラムによってこれに応えようとしています。人間についてその多様な背景もふまえ丁寧に的確に捉えるために、現場での対面的な学びとともに、社会や文化、制度そして心や身体、行動に関する幅広い人文社会系の学問分野の学びを用意しています。

 最後に教育学部の学びを特徴づける少人数教育について述べておきたいと思います。教育学部は顔の見える学部です。1学年50名ほどの学生定員によってきめ細やかな教育指導が実現されています。また学生が主体の入学・進学時オリエンテーションやさまざまな学外活動、演習や実習などを通じ、同級生同士や先輩・後輩そして教員との強い結びつきが見られます。教育学部には少人数ならではの豊かな出会いの場がひろがっています。教育学部での学びと豊かな出を通して、身近な個々人の生から人間の発達・形成を支える未来社会まで一貫して構想できる知力と感性を身に付けてほしいと思います。

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