• 九州大学

教育学部の概要

教育学部の特徴

 教育学部では、「①教育学系」および「②教育心理学系」という2つのアプローチから、人間の形成や人間の発達にかかわるあらゆる問題を学びます。教育というと子どもの問題と思われがちですが、乳幼児期や児童期の子どもの問題だけではなく、青年期や成人期、さらには老人期にいたるまでの人間の生涯にわたる発達を学びます。教育学というのは、総合的な人間形成の科学だと言えるでしょう。

 われわれ九州大学教育学部は、厚みあるスタッフによりユニークな研究と、きめ細やかな少人数教育の実践を心がけています。九州大学教育学部は、教員養成を目的とした学部ではありませんが、所定の単位を履修すれば中学校社会科、高等学校地理・歴史科,公民科などの教員免許を取得できます。

 教育学部と関連の深い大学院人間環境学府は、人間共生システム専攻心理臨床学コースが財団法人日本臨床心理士資格認定協会による第一種指定大学院となっています。 また、実践臨床心理学専攻(専門職学位課程)を修了すると財団法人日本臨床心理士資格認定協会の臨床心理士資格試験の受験資格が得られます。

教育学部の歴史〜教育学部の設立とその使命〜

 九州大学教育学部は、1925(大正14)年5月に九州帝国大学法文学部に設置された文学部教育学講座をその前身としていますが、戦後の学制改革によって新制九州大学が発足するとともに法文学部から分離独立して、九州大学教育学部となりました。1949(昭和24)年5月のことです。戦争が終わり、民主主義という旗のもとで文化的な国づくりを進めていくなかで、新しい日本の学問と教育を担うべく歴史的な使命を託されて教育学部は誕生したのです。

 こうした時代の要請を受けて、教育学部は従来の原理的な教育学研究に加えて心理、社会、政策、行財政、学校教育、社会教育といった幅広い分野の教育学研究を推進していくとともに、こうした分野における研究者の育成、教育界の有能な指導者の育成、高度の専門的知識を備えた人材育成が必須の課題となりました。また教育職員免許法が制定されて教員免許状は一般教養、専門課程、教職課程の三領域の修得にもとづいて与えられるようになったため教育学部は全学に教職課程を与えることになりました。

 こうして九州大学教育学部は教育分野における指導的な役割を果たすことを期待されて設立されたのです。そして1950(昭和25)年4月には教育心理学第一講座が、1951(昭和26)年には教育史講座(1994年、教育社会史講座となる)と教育心理学第二講座がそれぞれ開設されて教育学部の研究基盤が整備されました。以後、教育学の領域では、1952(昭和27)年には比較教育学講座と教育技術学講座(1963年、教育方法学講座となる)、1953(昭和28)年には教育行財政学講座(1963年、教育行政学講座となる)、1954(昭和29)年には教育社会学講座が開設されて、教育学研究の新たな学問的構成の基盤が整備されました。そして1953(昭和28)年には大学院教育学研究科に教育学専攻と教育心理学専攻が設置されて大学院の教育・研究体制が整い、新しい時代の新しい科学としての教育学研究が期待されることになりました。

研究・教育の蓄積と教育学部の発展

 戦後の日本は飛躍的な経済的発展を遂げましたが、それは一方で日本社会の国際化を促しました。今日では経済生活のみならず、政治生活、社会生活、文化生活においても国際的な関係に影響されるようになりました。正に国際化時代と言えるでしょう。こうした社会的な背景から教育学研究においても国際的な比較研究が要請されるようになりました。そうした時代の到来を予想して、九州大学教育学部では早い時期から教育文化の比較研究に着手していました。1952(昭和27)年に設立された比較教育学講座は、日本で最初の比較教育学研究の講座です。そして教育学部は、比較教育学研究をさらに推進していくために独立の研究機関の設置を計画しました。当時の福岡県知事の呼びかけで地元各界からの寄附を募るとともにロックフェラー財団から当時の額で55,800ドル(2000万円)の援助を得て共同研究を発足させ、これを機に1955(昭和30)年に附属比較教育文化研究施設を設立したのです。日本の比較教育学研究は九州大学教育学部から始まったとも言えるでしょう。

 九州大学教育学部のもう一つの特色は教育心理学の領域を重視してきたことです。1950(昭和25)年4月には教育心理学第一講座が開設されましたが、翌年には既に教育心理学第二講座が開設され、さらに1961(昭和36)年には集団力学講座、1962(昭和37)年にはカウンセリング講座、1975(昭和50)年には障害児童学講座、そして1992(平成4)年には生涯発達学講座が設置され、日本で最大規模のスタッフを擁する大学になりました。また1954(昭和29)年11月から教育心理学講座の教官によって奉仕的に続けられていた教育相談室が文部省の認可を得ることによって1981(昭和56)年に心理教育相談室となりました。さらに障害児童学講座が中心となって進めてきた障害児臨床の研究と実践を発展させるために1986(昭和61)年には附属障害児臨床センターを設立しました。そして研究と臨床実践をより一層発展強化させるために1995(平成7)年にはこの2つの施設を統合して、新しく附属発達臨床心理センターとしました(平成11年度以降は大学院人間環境学研究科の附属となります)。

 また地域社会への貢献や社会に開かれた大学・大学院であることも九州大学教育学部の大きな特色と言えるでしょう。1966(昭和41)年には社会教育学講座が開設され、この講座が中心になって毎年社会教育主事講習会を開催し、社会教育関係指導者の育成に大きな貢献をしています。2006(平成18)年からは福岡県、福岡市、北九州市の各教育委員会と協力して、福岡県内の教頭、指導主事を対象にマネジメント能力向上のための短期研修を開始し、修了者の多くが校長となって現場で活躍しています。

 1998(平成10)年4月からは、教育学研究科を母体にした学際的な大学院である人間環境学研究科が新設されました(2000年に人間環境学府に再編)。その中の教育学コースには、社会人を対象とした修士課程・博士後期課程も設置され、幅広い分野・世代の教育ニーズに応えています。このように九州大学教育学部は常に社会の変化に対応しつつ、新たな可能性に向けてチャレンジしているのです。

教育研究上の目的

 教育学部は、人間に対する深い洞察と共感的態度を基盤に持ちながら、人間と人間のふれあう社会のさまざまな領域において創造的に問題解決できる人材を養成する。

アドミッション・ポリシー

 九州大学教育学部は1949(昭和24)年5月に文学部教育学講座を母胎に設置された学部です。当初は敗戦後の新しい民主主義に基づく社会を構築するために教育界の指導者を養成することを目的としていました。その後の教育界の変化に伴い常に教育社会の中心で活躍できる人材を養成してきました。

1.教育理念 (教育理念・目標、育成する人材像)
 九州大学教育学部は、人間に対する深い洞察と共感的態度を基盤に持ちながら、人間と人間のふれあう社会のさまざまな領域において創造的に問題解決のできる人材を養成することを目的としています。
 教育学部における教育は、人間の発達と形成を軸とする幅広い総合人間科学としての教育学・心理学に関する理論的並びに実践的な基礎教育と専門教育を通じて、具体的には以下の5つのタイプの人材の育成を想定しています。
  • 学部・大学院(本学部・本学大学院人間環境学府等)の一貫教育を経て、国内外の高等教育機関・研究機関等で教育・研究にたずさわる専門研究者。
  • 学部さらには大学院での教育を経て、各種の教育機関・福祉機関等において教育・福祉の実践的活動にたずさわる専門職や指導者。
  • 官公庁及び民間企業等で実践的な人材開発や能力開発、また教育分野や心理分野での実践活動にたずさわる専門研究者。
  • 地域社会、さらには国際社会において、ボランティア活動としての教育的活動や福祉的活動にたずさわる専門家や指導者。
  • 心理カウンセラーとして心理相談や心理ケア等の専門的活動にたずさわる専門家や指導者ならびにボランティア活動家。
2.教育プログラム

教育課程の特色
 教育学部は人間の発達と成長を軸とした総合的な人間科学を目指し、その基本を作っているのは教育学と心理学である。この二つの領域を総合的に学びつつ学年進行にともない、その専門性を深めていく方法をとっている。大きく教育学系と教育心理学系にわかれ、さらに教育学系には国際教育文化コースと教育社会計画コース、教育心理学系には人間行動コースと心理臨床コースの4つのコースを置いている。

教育指導体制
 第3学年の前期に指導教員を選択して、その教員の研究室に所属することになります。そして指導教員の指導のもとでその専門分野の基礎的な学修をしつつ、自分の研究テーマを見つけます。そして卒業論文のための調査や実験を重ねて、卒業論文を書くことになります。

3.求める学生像(求める能力、適性等)

 教育学部は人間の発達と成長を軸とした総合的な人間科学を学ぶところです。人間に高い関心を持っていることが大切な要件です。
 入学後にも、人間に関係する社会科学、人文科学、自然科学を学び続けます。そのために次のことを期待しています。

  • 人間の教育や成長について学問的観点から科学的に考えることに興味と意欲があること
  • いろいろな観点(ものの見方や考え方、価値観)や見地(異文化や国際的視点)に立って、多面的に議論し、考察ができること。
  • 基礎的な学力を十分に持っていること。そして入学後も、専門的な知識や能力の習得に、着実に取り組めること。
  • 知識を深め、視野を広げ、事実をもとに自分の着想と論点を構築し、まとめ、発表することを継続的に行えること。
4.入学者選抜の基本方針(入学要件、選抜方式、選抜基準等)

前記の求める要件が満たされていることを確認するための選抜を行います。

  • 一般入試においては、高校における主要科目全般の総合的な学力を重視します。大学入試センター試験の成績とともに、国語、数学、外国語を課し、基礎学力の優れた学生を選抜します。
  • AO入試Ⅰにおいては、優れた基礎学力を持つとともに、主体的に課題を設定し、社会における様々な事象に関心を持ち、それらについて明快な議論を構成して、他者と能動的にコミュニケーションができる能力を重視します。そのために調査書、小論文、プレゼンテーション、面接により選抜します。
  • 学力とともに、異文化を理解し、国際的見地から考えることに優れた学生も受け入れます。
    帰国子女入試においては、異文化および異なる社会への視点と多面的な理解を示す能力を見るために、小論文と面接により選抜します。
    私費外国人留学生入試(4月入学)においては、日本社会や文化への関心、勉学意欲、および学習能力を見るために、日本語試験と面接により選抜します。

カリキュラムポリシー

 本学部の教育課程は、基幹教育から専攻教育へと幅広い知識・学問から教育学や心理学の特定領域へと焦点化させていくとともに、初年度の段階から教育学、心理学の基礎を学び、学年進行と共にその専門性を深めていくことを目指しています。

 専攻教育に進学後は、本学部の長所である少人数教育の利点を生かしながら、人間の発達と成長を軸とした総合的な人間科学を目指し、専門領域の学問の習得と共に、教育学と心理学の二つの領域を総合的に学びつつ、それらの融合を図っています。

 専攻科目はそれぞれの系やコースに沿って構成し、シラバス等において内容、評価基準等を明示しています。また、専攻教育段階では理論的な学習のみならず、調査研究の方法やスキルを演習、フィールドワーク、実験・実習などで、社会との連携を保ちつつ、学生が主体的かつ実践的に学べるよう配慮しています。

ディプロマポリシー

 教育学部は、教育と心理双方にわたる幅広い視野と基礎知識を備え、さらに理論的、実践的な専門知識を習得し、①教育学および心理学の各専門領域における実践家や専門家としての知識やスキル、すなわち現場の諸問題を分析・探究・解決するための能力を備えた人材、②教育学および心理学の各専門領域における研究者への道をめざすための基礎的な知識やスキル、すなわちディスカッション、プレゼンテーション、外国語論文の読解、学術論文の作成等に係る調査・研究を行うための基礎的な能力を備えた人材を養成しています。

施設紹介

講義棟
主な講義はこの講義棟で行われます。さらに少人数のゼミや大学院のゼミは研究棟で行われます。
学生サロン
特に学部学生の談話の場として使われています。PC も設置されていますので、就職活動の情報収集などにも使えます。
文系合同図書室閲覧室
レポートや卒業論文執筆の際に最も(?)お世話になる場所です。22 時まで開いているので、ゼミの準備もばっちりできます。
文系合同図書室書庫
九州大学で最も多くの図書を収める文系合同図書室の書庫です。また、ここから徒歩3 分ほどの場所に、中央図書館があります。

※後日、写真でご紹介します。

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